福岡県八女市黒木町 日本一の玉露をつくる「城 昌史さん」を訪ねる
今年の6月、福岡県八女市黒木町で玉露をつくられている、城昌史さんの茶畑・ご自宅を訪れました。
城さんは、全国茶品評会「玉露」部門で農林水産大臣賞を受賞された、玉露づくりの達人。この日は、妻の志穂さんとお二人で出迎えてくださいました。ご挨拶したのもつかの間、まずはトラックに乗ってくださいと、玉露がつくられる茶畑まで案内していただきました。
櫻井焙茶研究所で取り扱わせていただく「きらり31」の茶畑。
はじめに伺ったのは、お茶づくりを始めたきっかけ。
小学校低学年のころ、みかんを栽培されていた畑を茶畑にして、父親が玉露をつくり始め、それからゴールデンウィークには毎年お茶摘みを手伝っていたと話す城さん。
「自分が19歳のころ、伝玉(八女伝統本玉露)はすごく安かったけん、つくるのをやめる人が多かった」
そんな状況をみながらも、当時の城さんは父の畑を引き継いで、トラック運転手との兼業で、玉露づくりをはじめました。
“玉露づくりは向いていない”、そう言われる黒木の土地で、美味しい玉露がつくれないか。そんな思いから、城さんの挑戦が始まりました。
新茶の時期が終わり、先の葉は摘まれていながらも、枝の一本一本に力強さを感じる。
被覆栽培が始まると、次第に葉は丸くなっていくといいます。
「星野村では正解でも、黒木町では違う」
被覆を始める時期が通常より早かったり、ほんの僅かな光しか届かないぎりぎりのところの遮光率にしたり、独自のやり方で、自らの道を切り開いてこられました。
一方で、
「野菜とか植物を育てるのはすきやったけど、あとは親父のやり方をみてやってきた」
と謙虚に話される姿も印象的でした。
「さえ(さえみどり)は旨味がはじめにがーっとくるけれど、きらり31は年によって違うけん、可愛がりがいがあるんよね」と、志穂さんが教えてくださったように、茶の木が育っていく過程を楽しんでいらっしゃるお二人の様子が伝わります。
城昌史さんと、妻の志穂さん。二人三脚で、玉露をつくってきた。
無邪気な笑顔が似合う城さんですが、飽くなき探求心で、茶の木との“対話”を積み重ねること二十数年。日本一の玉露を、この黒木の土地でつくりあげました。
独自のお茶づくりについて話されている城さん。
茶畑の見学後、せっかくだからとご厚意で、ご自宅にて玉露をいただくことに。
低温でじっくりと淹れた玉露の1滴を、緊張しながら口に含みました。柔らかく上品な甘みから、ゆっくり、ゆっくりと口の中に余韻が広がります。その清らかさと綺麗に鼻に抜ける芳ばしさに、思わず目を閉じました。
ご自宅でいただいた、「きらり31」の玉露。
お二人がつくられた、伝統本玉露をつかったシフォンケーキと茶ハムロールまでご馳走になり、とても美味しくて夢中になっていただきました。
伝統本玉露をつかったシフォンケーキと茶ハムロール。
櫻井焙茶研究所では、2025年の福岡県茶品評会で農林水産大臣賞を受賞された玉露「きらり31」をつかった特別なコースを茶房でお愉しみいただけます。
数量限定ですので、この機会にぜひお召し上がりください。
* 玉露「きらり31」の販売は行っておりません。予めご了承ください。