穀雨
4月20日は、「穀雨」。
やわらかな春の雨が大地を潤し、穀物の成長をやさしく促すころ。
芽吹きから成長、そして開花へと、自然の営みがいっそう力強さを増していく時季です。
七十二候の中で、穀雨の初候は「葭始生(あしはじめてしょうず)」。芽吹いた葦はやがて葦簀(よしず)となり、軒先や縁側に立てかけられたその姿は、日本の暮らしの風景の一部として長く親しまれてきました。
日本茶づくりにおいても欠かせない存在である葦簀は、覆下栽培に用いられます。
葦簀を通してやわらかく落ちる光のもとで、茶の新芽はゆっくりと旨みを蓄えていく。急がせず、時間の流れにそっと手を添えるような営み。
その積み重ねが、一服の奥行きをかたちづくります。
穀雨のブレンドに用いる阿波番茶もまた、時間を内包したお茶。
摘み取られた茶葉は漬け込まれ、乳酸発酵によってゆっくりと変化し、自然の力に委ねることで、やわらかな酸味と滋味が育まれていきます。
そこに三年番茶を重ねることで、根菜を思わせるじんわりとした甘みが広がり、さらに枇杷の葉と山椒の葉がほのかに華やぎを添え、奥行きのある香りを生み出します。
静かに降る春の雨のように、心と身体にやさしく沁みわたる味わいを、ぜひお愉しみください。