芒種
6月5日は、「芒種」。
芒種を表すブレンド茶では、静岡県牧之原市の釜炒り番茶「くらさわ」に、桃と桃葉と橘果皮を合わせました。
爽やかで甘みのある香りが感じられ、可憐な印象のあるブレンド茶です。瑞々しいけれど、どこか広葉樹が雨に濡れたような艶やかな味わいが広がります。
芒種は、棘のあるイネ科、お米や麦などの種をまく季節です。
“米離れ”なんてことばがありますが、全国的にお米が普及するようになって、実はまだ100年も経っていません。
地方の農村に住む人々にとっては、お米を日常的に食べるなんて、夢のまた夢。お米の有り難さが年々身に沁みる昨今ではありますが、今とは比べものにならないほどお米は貴重品でした。
一方、お茶が庶民に広がったのは、江戸時代。その頃、“茶飯”とよばれる茶汁でお米を炊いたり、茶葉を混ぜたりしたごはんが流行しました。
大豆などを加えたものは“奈良茶飯”とよんで、浅草には奈良茶飯を食べられるお店ができて大繁盛したそうです。
そこから奈良茶飯のお店が増え、磁器の産地である佐賀県有田では奈良茶飯専用の蓋つき茶碗がつくられるなど、江戸っこに愛されたご飯だったことに間違いありません。
現代に生きる私たちも、負けじと美味しいものに情熱を燃やし、食の文化を賑わせていきたいですね。