小満
5月21日は、「小満」。
草木が勢いよく伸び、万物がしだいに満ちていくころ。
この時季、田には水が張られ、水面には空の光が映り込むようになります。
夜になると、棚田の一枚一枚に月が宿るように見えることから、“田毎の月(たごとのつき)”と呼ばれ、古くから人々に親しまれてきました。
長野・姨捨の棚田を描いた歌川広重の浮世絵でも知られ、日本の初夏を象徴する風景のひとつとして今も語り継がれています。
風のない夜、水面は鏡のように空を映し、月影が田をやわらかく照らします。田植えを前にしたひとときのなかで、人々は豊かな実りへの願いとともに、この景色を眺めていたのかもしれません。
また、茶道には、私たちが手に取る茶碗の中を「景色」と捉える感覚があります。
茶碗にあらわれる釉薬の流れ、水面の揺らぎ、水色の濃淡——。
光の入り方や湯気によって、まるで自然の断片を閉じ込めたような景色が立ち現れます。
水面に月が宿るように、一服の茶にもまた、季節の気配がそっと映し出される。そんな情景を感じながら、お愉しみいただけたら幸いです。
小満に向けたブレンド茶には、宮崎県の包種茶「みなみさやか」に、京都の煎り番茶、カモミール、青紫蘇を合わせました。
みなみさやかの透明感ある香りに、煎り番茶の香ばしさ、カモミールのやわらかな甘み、青紫蘇の清々しい余韻が重なります。
小さな景色を愛でるように、この一服をゆっくりとお愉しみください。